日本人と畳

日本の文化は、古来、中国大陸からの伝承をもとにしたものが多いのですが、畳は大和民族の生活の知恵が生み出した固有のもので、湿度が高く、気象の変化が激しい日本の風土に、最も適した敷物として育てられ、継承されてきました。 瑞穂の国にふさわしく、稲わらを利用Lて床をつくり、野生のいぐさを改良して畳表を織り、畳という素晴しい敷物をつくりあげたわけです。 明治以来の急速な西欧に向った文明開花の時代にも、戦後の激しい石油文化の発展の中でも、畳は日本の住いの中心的役割を果たしてきました。 これは、科学の進歩で優秀な化学繊維が、次々に登場してきたにもかかわらず、畳のもつすばらしい特性には対抗できなかったからです。海も山も、化学文明に追いつめられて、安らぎを欠く今日、自然の安らぎがあなたに帰ってくる畳に、自然を問いかけてみませんか。 旧漢字でたたみを「疊」と書きます。これは田圃からとれる稲わらを交互に積み重ねたとの意味があります。